露店でたばこを無許可販売したとして、大阪府警西成署は2日、大阪市西成区のあいりん地区の露店や露天商の自宅をたばこ事業法違反(無許可販売)の疑いで捜索した。たばこは韓国の免税店向けに出荷された正規品とみられ、正規の価格より2割以上安い1箱320〜350円で売られ、口コミで人気を集めていた。

 捜査関係者によると、強制捜査したのは韓国籍の60〜70代の露天商の女4人=いずれも西成区。4人はそれぞれあいりんの路上でブルーシートやパラソルを広げ露店を営業、たばこ「メビウス」(旧マイルドセブン)を財務相の許可を受けないで販売した疑いが持たれている。うち1人(69)は短期滞在ビザで営業したとして入管法違反の疑いで逮捕する方針。

 ほぼ毎日午前4時〜午前8時ごろ、あいりんで場所を変えながら営業していたとみられる。たばこの箱にはハングルが書かれており、韓国側から違法に持ち込まれた可能性があるとみて府警は捜査している。

 あいりんでは、ヤミたばこや海賊版のDVDを売る露店が後を絶たず、子供の通学路に並ぶこともある。来春、付近の萩之茶屋小を含む3小学校と今宮中が市立の小中一貫校として開校予定で、府警と府、市は治安改善に注力している。

 萩之茶屋小北側の路地では2日午前7時過ぎ、私服姿の西成署員ら約20人が露店の捜索を一斉に始めた。台車の上などに山積みされたたばこに布を掛けて抵抗する女もいたが、署員らはたばこなどを押収して女らに任意同行を求めた。日雇い労働者の男性(62)は「安い給料の身にとってヤミたばこは魅力的だ。知人に教えられ何度も利用した」と話した。

毎日新聞